家紋の歴史

家紋の原形となった文様の歴史は飛鳥時代にまでさかのぼるとされています。 それから時代が下って平安時代には現在使われている家紋の素材とほぼ同じ文様が使われるようになりました。

家紋の役割が一段と重要になるのは、室町・戦国時代です。 デザインでも、それまでの写実的なものから象徴的(紋章的)な傾向が強まり、家(戦闘集団)を明瞭に表すためや戦場での識別を容易にするうえで重要な役割を果たすことになります。 現在見るさまざまな家紋の原形はこの頃にほぼ完成していたといえるでしょう。

徳川時代になり、大きな戦乱がなくなると、家紋は儀式・儀礼的な役割を増すことになります。武士の礼服(裃)にも家紋をつけるようになり、また紋に丸をつけることが多くなったのもこのころからとされています。 また、庶民(町人)の間にも家紋が広がり、武家の家紋を真似たり、自ら新しい家紋を作ったりしたので、さまざまな家紋の種類が一気に数を益すことになりました。

このように日本の社会に広まっていった家紋も、徳川時代が終わり、武士が姿を消すとともに省みられることが少なくなりました。 戦後、家社会から個人の時代になるとさらにその傾向は強まり、人々の関心は薄れ、日常生活の上で家紋にお目にかかることはほとんどなくなりました。

現在では、葬儀・葬式の場や墓石に彫られた家紋を見て自分の家紋を知ったという方も少なくないと思います。 しかし、日本の歴史とともに脈々と伝えられてきた家紋には独特の美しさがあります。家紋は日本が生んだ世界に通用する優れたデザインなのです。このwebsiteを通じて一人でも多くの人が家紋を再認識していただけることを願っています。

参考資料
日本家紋総鑑(千鹿野茂著 角川書店発行)
新選 家紋大全(本田總一郎監修 梧桐書院)
家紋の文化史(大枝史郎著 講談社)
家紋百話(丹羽基二著 河出書房新社)
家紋辞典(大隈三好著 金園社)
家紋逸話辞典(丹羽基二著 立風書房)
家系家紋ハンドブック(真藤建志郎著 PHP研究所)
家紋の正体(丹羽基二著 KKベストセラーズ ワニ文庫)
家紋と姓名(郷土家紋研究会編 弘済出版社)
日本家紋総鑑(千鹿野茂著 角川書店)
紋章大集成(古沢恒敏著 金園社)